Web戦略という言葉の定義は非常に幅広く、「何からどう手を付けたら良いかわからない」といった方も少なくありません。
難しいマーケティングの専門用語や使用するべきツールが多いWeb戦略。しかし、Web戦略を立てる目的は多くの場合「より多くの顧客に価値を提供することで目標となる数値を達成するため」に他なりません。
この記事では、Web戦略を立てるための具体的なステップや押さえておきたいフレームワークに加えて、ライバルに負けない戦略の立て方や注意点を解説します。
目次
そもそもWeb戦略とは、社内で定めた目標を達成するためのロードマップを立てることを指します。
Web戦略とWeb戦術は混同されることが多いものの、大まかな地図の役割となるのがWeb戦略、ゴールに向かって選ばれる手法が「Web戦術」となるイメージです。
Web戦略とWeb戦術は定義上に明確な違いがあり、両者の定義をそれぞれ解説すると以下のようになります。
・Web戦略:Webマーケティングを行う上での大まかな方向性・手段
・Web戦術:Webマーケティングを行う上での方向性にしたがって決定する具体的な手法やフレームワーク
まずはWeb戦略における具体的なステップを決定し、各ステップを行う目的や施策の詳細内容を決めるのがWeb戦術であることを押さえておきましょう。
ここからは、Web戦略を立てるのに有効的なフレームワークを5つ紹介します。
Web系の会社に勤めている方なら一度は見たことのある用語が並ぶ可能性も高いため、この段落では各フレームワークを実際に使用する上での方法にフォーカスして解説します。
SWOT分析は強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字をとったフレームワークです。
SWOT分析はWeb戦略を立案する上での環境分析でのステップで使われることが多く、自社商品やサービスの4つの要素を内的要因、外的要因に分けて分析することができます。
4P分析は、自社の商品販売に関する要素を商品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の4つに分類したフレームワークです。
4P分析は顧客に対しての商品・サービスの販売価格だけでなく、原材料の調達や販売方法といった面での問題提起や継続的改善にも使いやすいことが特徴となっています。
4C分析は顧客価値(Customer Value)価格(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)から構成される、顧客の視点に立ったフレームワークです。
これら4つの要素は顧客の購買意思決定に影響を与えるものであり、いかにして顧客に対して自社商品・サービスの価値を与えるかを多方面において考えるのに役立ちます。
PPM分析は「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸からなる座標に事業や製品・サービスを分類し、経営資源の投資配分を判断するための方法です。
PPM分析は、以下の4つに分けて自社商品・サービスの分析を行います。
市場成長率、市場占有率共に低い「負け犬」
市場占有率は高いが、市場占有率は低い「問題児」
市場占有率は低いが、市場占有率は高い「金のなる木」
市場成長率、市場占有率共に高い「花形」
PPM分析を使うことで、企業の経営資源や人的リソースの投資配分や競合他社との売り上げや市場網羅度の比較を行いやすくなります。
ここからは、実際にWeb戦略を立てる上でのステップを順々に解説します。それぞれのステップの目標や、決めるべき内容を押さえておきましょう。
Web戦略を立てる上での一つ目のステップは、「そもそも何のためにWeb戦略を立てて何を目指すのか」を明確に決めることです。
自社商品やサービスの現状を、Web戦略を通して何をどう達成したいのかを言葉にすることで、目標達成への道のりや必要なステップが見えてくるようになります。
Web戦略を立てる目的・目標が決まったら、次は具体的な金額や数値を伴う目標や達成のためのスケジュールを組み立てるステップに移ります。
「〇〇月末までに〇〇を〇〇達成する」といった具体的な目標を定めることで、それに伴って現実的に実行可能なスケジュールを立てることを心がけましょう。
Web戦略を立てる上での具体的な目標やスケジュールが定まったら、次は自社商品・サービスの現状を分析するステップです。
このステップでは上記段落で紹介した4P/4C分析、PPM分析が有効的となります。企業、顧客両方の視点に立って自社商品・サービスの市場成長率や市場占有率を分析しましょう。
また、これらのフレームワークと同時に競合他社を分析するツールを併用することによって、「他社と比べた自社商品・サービスの現状」を可視化することができます。
自社商品・サービスの現状をある程度把握した後は、実際に使用するマーケティング手法を決めることで、具体的なWeb戦略を形作るステップへ移ります。
Web戦略の考案、実行時に一般的に活用されるマーケティング手法には、以下9種類のものがあります。
・SEO
・MEO
・Web広告
・オウンドメディア
・LP
・SNS
・LINE公式アカウント
・アプリ
・メールマーケティング
上記の表において紹介した各手法には以下のような特徴があり、どれも業界・業種を問わず幅広い場面で重要視されています。
各手法においての詳細については、それぞれ参考となるページへのリンクを掲載しておりますので、興味のある方は是非目を通してみましょう。
検索エンジンの最適化を行うSEO対策では、Googleを通して自社商品、サービスを検索してきたユーザーに向けて提供するWebページやコンテンツの最適化を行います。
Googleが「Contents is King(コンテンツがすべて)」と明言している通り、優れた情報を発信している記事、Webサイト、LPを上位表示する傾向があります。集客や購買、顧客の課題解決につながると予想されるキーワードを設定し、競合と比較して情報量の多いページを作成するというのが、SEOの主流になっています。これを「コンテンツSEO」と呼びます。
MEOは自社の所在地や問い合わせ方法などの情報をGoogle Map上で表示させたり、地域に合わせたマーケティング戦略を立てることを指します。
MEOの基本はGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)に登録し、顧客が必要とする情報をマップ上に表示させることです。無料で登録ができます。飲食店や美容室、小売店などのローカルビジネスは登録必須のサービスです。
Web広告には以下のような種類があり、それぞれがオンラインやオフラインにおいて強みを発揮する反面、使い方の頻度や投稿の質によってはデメリットも発生します。
・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・アフィリエイト
・SNS広告
・アドネットワーク広告
・リターゲティング広告
・純広告
・ネイティブ広告
・Webチラシ
SEOや広告を活用した集客については、以下のページにて詳細を解説しています。
オウンドメディアは「自社で保有するメディア」のことを指し、自社のパンフレットやWebサイトを使ったマーケティング戦略を立てるための要素の一つとなります。
飲食店であれば、「ぐるなび」や「食べログ」などのポータルサイトがありますが、掲載方法に制限があるため、ブランドを表現しきれないという問題があります。オウンドメディアを構築することで、自由な表現が可能になります。
コンテンツSEOでアクセスを集めたいと考えている場合、オウンドメディアの構築は必須となるでしょう。
LPはランディングページの略称であり、検索結果や広告などを経由してユーザーが最初にアクセスするページのことを指します。
広告で活用されることが多く、ユーザーの課題を解決する情報を掲載して興味関心を深め、購買につなげることを目的としています。CVRを高めたいと考えている場合に最適です。
TwitterやInstagramなどを活用したSNSマーケティングは、今や業界や業種を問わず幅広いビジネス領域において浸透していることが特徴です。
SNSマーケティングについては、以下のページで詳しく解説しています。
国内で4,000万人以上のユーザーを誇るSNSアプリ「LINE」を使ったマーケティングも、多くの企業が取り入れている手法の一つとして知られています。
LINE公式アカウントを使ったWebマーケティングの方法については、以下の記事も参考にしてみましょう。
企業独自のアプリやプラットフォームでの宣伝を使ったアプリマーケティングも、現代社会において多くの企業によって使われているマーケティング手法です。
アプリは主に顧客との関係構築を目的として開発されます。クーポンやニュースの配信、ポイントの付与などです。そのほか、キャッシュレス決済、事前注文など顧客の利便性を高めることを重視しているものもあります。
メールマーケティングは、顧客一人一人にとって最適な内容のメールを送信することで情報や価値を提供し、顧客とのコミュニケーションを図るマーケティング手法です。
メールマーケティングは以下のページにて詳しく解説しています。
ここでは、マーケティングツールと併用することでより効果的な戦略を立てられるツールを6つ紹介します。
サイト分析ツールの定義は幅広いものの、多くの場合は以下2つの視点から自社のWebサイトの見た目や機能の現状を分析し、継続的な改善を実現するために使われます。
UI(ユーザー・インターフェース):ユーザーと商品・サービスとの接点
UX(ユーザー・エクスペリエンス):ユーザーが商品・サービスを通して得た体験
SNS分析ツールには、自社のSNSアカウントのフォロワー数の増減や流入経路、フォロワーの特徴や共通点を分析する際に使われるツールが多数存在します。
ABテストツールは、「2つ以上のパターンを考えたがどれを実行するか迷う」場合に重宝されるツールであり、実際に全てのパターンをテストして効果を可視化できます。
競合分析ツールは、自社商品やサービスの位置する市場や業界においてライバルとなる競合他社のWebサイトや売上推移などの情報を分析し、自社と比較することに役立ちます。
SEO対策ツールは、Googleをはじめとする検索エンジンの最適化やモバイルレスポンシブの対応、検索側から見たWebサイトの見た目を整える際に使われます。
MEO対策ツールは、GoogleマイビジネスやGoogleアナリティクスと併用することでGoogleマップでの上位表示を実現するために使用されるツールです。
これらのツールについては以下の記事でより詳しく紹介しております。興味のある方は是非一度目を通してみてはいかがでしょうか。
実行するWeb戦略が決定したら、次はチームリーダーや各メンバーの役割、担当業務などを決めるステップに入ります。
Web戦略は一度決めて実行するだけではありません。以上のステップを繰り返すことで、効果の定期的な見直しや自社商品・サービスの継続的改善を行うことは必要不可欠です。
このステップでは、PDCAサイクルや競合分析ツールを繰り返し使うことでライバルに負けない商品・サービスを継続的に生み出すことが目的となります。
以下段落ではライバルとなる企業に負けないWeb戦略を立てるためのポイントを紹介するので、是非参考にしてみてくださいね。
Webマーケティングツールは、ただ使い方を覚えて使っているだけでは結果に直結しません。
ここからは、ライバルに負けないWeb戦略を立案・実行する上で押さえておきたいポイントを3つ解説します。
ライバルに負けないWeb戦略を立てる上での一つ目のポイントは、WebページやSNSアカウントなどの内容を見込み顧客の目を引く内容にすることです。
投稿のタイトルやテキスト、サムネイルなどの内容を見込み顧客が「思わず見てみたくなる内容」にすることで、WebサイトやSNSアカウントへのアクセスがうんと上がります。
また、上記の要素におけるテキスト(文章)部分を決める際には、以下の心理学的効果も活かすことができるので目を通してみましょう。
・何かを禁止されることで余計に気になる心理を活かすカリギュラ効果
・情報の一部が隠して顧客からの注意を向けるザイガニック効果
・世間の流行りやトレンドを活かした施策を行うバンドワゴン効果
・最初に印象に残った数字を活用するアンカリング効果
ライバルとなる企業が行っているサービスや運用するSNSアカウントのフォロワーを分析することも、Web戦略を立てる上での手がかりを見つけるためのステップの一つです。
実際にファンとして競合他社を応援しているユーザーのニーズを理解することで、差別化の糸口を見つけて見込み顧客の獲得に繋がりやすくなります。
ライバルとなる競合他社のSNSアカウントのフォロワーを分析する時には、フォロワーの年齢や性別、嗜好及び商品・サービスの価格帯などに注目して行いましょう。
クロスメディアマーケティングを行い、それぞれの媒体特有のサービスや強みを付加価値としてつけることも、ライバルに負けないWeb戦略を立てるためのポイントです。
クロスメディアマーケティングとは、以下のように複数の媒体で異なるマーケティング施策を実行し、それぞれの媒体において顧客に価値を提供する手法のことを指します。
LINEマーケティング:LINE限定クーポンを配信
メールマーケティング:メールに記載されているリンクからの申し込みの場合料金〇〇%OFF キャンペーンの実施
メール限定のクーポンやSNS限定のサービスなど、それぞれの顧客に対して違った形でのバリューを提供することで、結果的に全ての媒体をリンクさせることでファンを増やしやすくなります。
ここからは、Web戦略を立てる上で「注意しておきたい」「してはいけない」ポイントに目を向けて解説します。
これらのポイントは定期的に見直すことが大切であり、「いつのまにか自己満足の内容のWeb戦略になっていないか」をしっかり意識することがポイントです。
Web戦略を立てる上で注意しておきたい1つ目のポイントは、気づかないうちに施策の内容が自己満足の内容になっていないかを気をつけることです。
常に市場分析を幅広い視点から行った上で、顧客に対して価値を与えるためのWebマーケティング戦略が実施できているかどうかをチェックしておきましょう。
現実的に実行可能なWeb戦略を立てているかどうかも、Web戦略を立てる上で注意しておきたいポイントの一つです。
予算、稼働時間、人員のスキルが現実的に足りていない戦略を立ててしまうと外注費が嵩んだり、せっかく考えた施策が途中で打ち切りになるリスクが高まるため注意が必要です。
Webマーケティングツールを使用しているだけで満足していないかを日々チェックすることも、Web戦略を実行するときに気をつけておきたいポイントです。
Web戦略を実行する上で使用するツールの目的や、それによって実際に効果が得られているかどうかを定期的に確認することを心がけましょう。
また、利用料金が高額な上に効果を発揮できていないツールがないかどうかの定期的な確認や、定期的に新たなツールを導入することも考えることが大切です。
「Web戦略の立て方や注意点、ライバルとの差の付け方」について幅広く解説しました。
Web戦略を立てる上での最大の目的は「顧客の望みにマッチした商品・サービスを提供するために必要なツールやフレームワークを選んで使用し、目標達成を目指すこと」です。
しかし、ほとんどの業界や市場ではライバルとなる企業は必ず存在します。その中で自社商品やサービスをどう分析し、どう改善するかを考えることは大切な要素です。
Web戦略を立てる上でのツールや用語が多数存在する現代社会だからこそ、ライバルとなる競合他社に負けず多くの顧客に価値を提供できるWeb戦略の立案を心がけましょう。
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