「マーケティング用語でよく聞くプッシュ型とプル型って何が違うんだろう」
「それぞれのメリットとデメリットがよく分からない」
このように悩んでいる企業の担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
なんとなくイメージはできたとしても、具体的にどのような手法なのかは分かりづらいですよね。
そこで、今回の記事ではプッシュ型とプル型の違いや、それぞれの代表的なマーケティング手法を詳しく解説します。
具体的な事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
プル型とプッシュ型の違いは、一言で表すと受動的か能動的かにあります。
プル型は「引く」という意味のとおり「待つ」マーケティング手法です。
対してプッシュ型は「押す」という意味のとおり「自ら行動する」手法と言えます。
ここからはより詳しく解説していきます。
プル型マーケティングとは、市場にアプローチすることで顧客が企業に興味を持ち、接触してくれるのを待つ方法です。
そのため、見込み客が自社製品や自社サービスにたどり着いてくれるように、購買における導線を上手く引かなければなりません。
主に
などの施策を用いて集客します。
そして顧客が接触してきたら、企業は情報を与え、段階的に引き込んでいき購入にもっていくのがセオリーです。
これらの流れから、プル型マーケティングは受動的な手法と言えるでしょう。
プル型マーケティングのメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
プル型マーケティングは、自社に関心を持っている顧客のみが集まるため、成約率が高いのが特徴です。
また、どのようなコンテンツに訪問したかによって課題が分かりやすいです。
例えば「早期退職者を削減するには」という資料をダウンロードした顧客がいたとしましょう。
恐らくこの顧客は人事担当者であり、学生を採用するものの、すぐに辞めてしまうことが課題であると考えられます。
すると「学生が定着しないのですね。現状を詳しくお聞かせ願えますか?」という風にピンポイントでヒアリングできます。
顧客も「そうなんですよ。実は~」と課題を相談しやすくなるでしょう。
このように相談に乗り、信頼を得ることで顧客と良好な関係を築けます。
プル型マーケティングのデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
プル型マーケティングは、購買に至るまでに時間を要します。
ニーズが顕在化している顧客だけでなく、潜在している顧客まで幅広く取り込むためです。
長い時間をかけてアプローチするため、その間に顧客が離脱してしまうことも少なくありません。
せっかく良好な関係を築けても、営業担当者の異動や退職時に引継ぎがされず、関係の再構築が必要になることもあるでしょう。
そして、プル型マーケティングでは、実証後の検証や改善立案を行うために専門的なスキルが必要です。
プル型マーケティングはターゲットを仮定し、仮説を立てて施策を実行していきます。
複数のデータをかけ合わせて分析し、分析した結果から仮説を立てるスキルが必要です。
施策の目標を達成するためには、実行・検証・改善のサイクルをワンストップで実行できる力が求められるでしょう。
プッシュ型マーケティングとは、特定の見込み客に積極的にアプローチをする手法です。
企業から顧客に必要な情報を与えることで購買、サービス登録などを促します。
顧客は、企業から情報を得られるので、購買に時間を費やさずに済みます。
プッシュ型マーケティングに用いられるのは、CM、Eメール・DMなどの手法です。
飛び込み営業、テレアポなどの直接営業もプッシュ型マーケティングに分類されます。
これらの例を見ると、プッシュ型マーケティングは、受動的なプル型マーケティングに対し、能動的な手法と言えるでしょう。
プッシュ型マーケティングのメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
プッシュ型マーケティングは、アプローチする顧客を選べます。
確度の高い顧客や自社にメリットのある顧客をターゲットに絞ることで、大きな実績につながる可能性があります。
また、ニーズのある顧客に営業を行うことですぐに成約に繋がる場合もあり、比較的短い時間で成果を出せるケースもあるでしょう。
プッシュ型マーケティングのデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
プッシュ型マーケティングは厳密にターゲット選定しないことが多く、見込みのない客へアプローチをして敬遠されがちです。
そのような押し売り営業の状態が続くと悪い口コミが広がり、逆効果となる可能性もあります。
ターゲットを誤れば成約できず、営業担当が疲弊してしまうこともあるでしょう。
それでは、プル型・プッシュ型、それぞれのマーケティングの代表例を見ていきましょう。
一口にプル型・プッシュ型と言っても、手段によって特徴が異なってきます。
どの方法を利用するか、検討する際の参考にしてください。
プル型マーケティングの代表例は、以下の9つです。
ポータルサイトは、ネット上に散らばった情報を1つにまとめたサイトのことです。
代表的なポータルサイトとして、ぐるなびやホットペッパービューティーなどがあります。
ポータルサイトを利用するメリットは、集客を増やしやすいことが挙げられるでしょう。
ポータルサイトに掲載を行うことで、開業したばかりでも多くの人に自社の情報を見てもらえます。
ただし、掲載費がかかることや、定期的に更新しなければ古い情報が残ったままになる点に注意をしましょう。
広告にもさまざまな種類があり、例えばリスティング広告やリターゲティング広告などが挙げられます。
リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告です。
リターゲティング広告は、過去にサイトを訪問したユーザーに対して表示される広告を指します。
広告運用のメリットは、短期間での効果が期待できる点です。
例えば、SEOで自社サイトを上位に表示させるためには、長い時間を要します。
一方でリスティング広告であれば、出稿後すぐに掲載される可能性が高いため、即効性を持って集客することが可能です。
しかし、これらの広告を「広告」と認識し意図的にクリックしないユーザーも一定数います。
これらのユーザーを集客するのは困難な場合もあるので、注意しましょう。
コンテンツマーケティングは、顧客に価値のあるコンテンツを作成・配信して見込み客を集め、購買につなげる手法です。
コンテンツが資産として蓄積されていき、ユーザーニーズを満たしたコンテンツは高い集客効果を生み出します。
一方で、短期間での成果を得にくいのがコンテンツマーケティングのデメリットです。
コンテンツが検索エンジンに上位表示されるまでに一定の期間がかかり、そこから顧客を定着させるまでにも時間を要します。
また、顧客が定着してからも定期的なコンテンツ配信が必要です。
コンテンツマーケティングを行う場合は、中長期的な目線で運営する体制を作ってから実践しましょう。
SNSで情報発信し共感を得られれば、現時点では商品を購入する予定はなくても、今後購入してもらえる可能性が高まります。
マーケティングに利用できる代表的なSNSとしては、TwitterやInstagramが挙げられるでしょう。
これらは無料で利用できるため、費用は人件費のみと低コストで運用可能です。
また、フォロワーが増えて行けば投稿が拡散されやすくなるため、知名度アップにつながります。
しかし、コンテンツに魅力がなければ効果がなく、間違った情報を発信してしまうと、炎上するリスクもあります。
一度炎上してしまうと企業のイメージダウンに繋がるため、SNS運用を行う場合は細心の注意を払いましょう。
YouTubeで顧客に有益な動画を配信し、自社のファンを作ります。
YouTubeを運用するメリットとしては、幅広い年代をファン化できる点が挙げられるでしょう。
総務省の調査で、YouTubeの利用者は10~40代の各年代で90%以上を占めていることが実証されています。
(参考:総務省|令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)
自社の商品やサービスが年代に縛られないものであれば、YouTubeを上手く運用することで絶大な効果が期待できるでしょう。
しかし、YouTubeも長期的な運用が前提なので、短期間で効果を出すのは難しい点には注意が必要です。
制作にも時間がかかるため、外注も検討しながらYouTubeチャンネルの運営を検討しましょう。
レビューマーケティングは、ユーザーから寄せられる口コミを活用するマーケティング手法です。
企業ではなく消費者の感想なので、顧客に信頼感や共感を与えられます。
広告費をかけずに済むため、費用を抑えられるのもメリットでしょう。
一方で、ユーザーが企業の意図しない情報や正確性に欠ける内容を投稿し、悪影響を及ぼすリスクもあります。
企業がインフルエンサーなどに口コミを依頼する方法もありますが、その場合はステマに当たるので注意が必要です。
インフルエンサーなどに頼む場合は、口コミ投稿の際に広告であることを必ず明示してもらいましょう。
共同マーケティングは、複数の企業が協力して販促活動などを行うマーケティング方法です。
同じ業界やターゲットが似ているなど共通点の多い企業間で、互いの商品・サービスを宣伝し合います。
お互いのネットワークが共有でき、新規顧客の獲得が見込めるのが共同マーケティングのメリットです。
成功させるには、共同企業との入念な打ち合わせが求められます。
得られるメリットの比率や、コラボレーションにより起こり得るリスクを事前に擦り合わせしておきましょう。
展示会では、実際の商品やサービスに触れてもらうことで、魅力をリアルに伝えられます。
顧客は特定のテーマに関心を寄せて訪れているため、集客しやすいのもポイントです。
また、顧客と直接会話できるので、関係性をより深められる機会となるでしょう。
とはいえ、出展料や装飾料など費用が発生します。
展示会が終われば終了ではなく、見込み顧客へのアフターフォローも大切です。
成約に繋げるためにも、展示会で集めた見込み客には、なるべく早くコンタクトを取りましょう。
セミナーは一度で複数人に対してアプローチできるため、効率的なマーケティング手法です。
また、集まった顧客は特定の悩みや課題を抱えているため、アプローチがしやすく成約に繋がりやすいです。
一方で、せっかく強い関心を抱いている顧客がいても、都合がつかなければ参加できないことがあります。
場所代や人件費などの費用も必要です。
これらの課題に対応するには、Webセミナーを活用しましょう。
オンライン配信にすれば、都合のつかない顧客も参加しやすい上に費用も抑えられます。
プッシュ型マーケティングの代表例は、以下の6つです。
メルマガは、タイムリーに情報を発信できるメリットがあります。
折り込みチラシなどの印刷物であれば、内容が決まった後もレイアウトや印刷など時間を要します。
しかし、メルマガであれば内容が決まり次第すぐに配信可能です。
一方でメルマガは、顧客に読んでもらえない可能性もあります。
企業には毎日何通もメルマガが届くので、捨てられることも多いです。
配信頻度が多すぎると、最悪の場合迷惑メールに設定されることもあるので、配信時は頻度にも注意しましょう。
LINEはYouTubeと同様、幅広い年代の顧客の集客に活かすことが可能です。
総務省の調査によれば、LINEの利用者は10~40代の各年代で90%以上を占めていることが分かっています。
50代・60代でも75%以上の人が利用しています。
(参考:総務省|令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)
また、タイムリーに配信ができるうえ、配信の自動化も可能です。
しかし、友だち追加をしてくれた人にしか配信できないため、友達追加までの集客に労力がかかります。
配信が多すぎたりコンテンツに魅力がなかったりすると、ブロックされる可能性もある点について把握しておきましょう。
テレビやラジオも社会的信頼度が高く、信用を得やすい傾向にあります。
音声により繰り返し放送されることで耳に残りやすく、テレビであれば視覚情報もあり、より強い印象を与えられます。
テレビCMの場合は、人気のある芸能人を起用することで、話題性も期待できるのがポイントです。
しかし、テレビもラジオも利用者が減少しているのが現状です。
総務省の調査によれば、平日のテレビの視聴時間がインターネットの利用時間を全世代で下回っていることが分かっています。
(参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|主なメディアの利用時間と行為者率 (soumu.go.jp))
ラジオにいたっては、最も多い50代でも約26%の人しか利用していません。
メインの集客方法というよりは、サブの集客方法として向いています。
折り込みチラシは、店舗付近の顧客に効果的な宣伝方法です。
チラシを目にしてからすぐに店舗へ訪問してくれる可能性が高く、短期間でも効果を見込めます。
その一方で、掲載できる量が限られていることや、破棄されるケースがあることもあらかじめ把握しておきましょう。
営業活動では訪問営業や電話営業を行って、見込みがありそうな顧客にアプローチします。
人的コストが発生しますが、自社の商品・サービスを必要としている見込み顧客にアプローチできるのが強みです。
印象を大切にしている顧客も多いので、営業活動は未だに効果的なマーケティング方法であることが分かります。
ただ、商品やサービスの料金が高いほど、検討期間が延びる傾向にあります。
また、決裁を得るのも容易ではありません。
新聞、雑誌広告では、写真やイラストを利用して読者に分かりやすいアピールが可能です。
新聞であれば地域性、雑誌であれば読者層に合わせてターゲットを絞りやすいというメリットがあります。
しかし、新聞広告、雑誌広告は読み飛ばされることが多く、一度読み飛ばされてしまうと再度目に留まる可能性は低いでしょう。
新聞や雑誌の広告を出す場合は、インパクトや独自性を意識しましょう。
最後に、プル型・プッシュ型の成功事例をそれぞれ3つずつご紹介します。
実際の事例を参考にして、自社のマーケティング活動に取り入れていきましょう。
プル型マーケティングの成功事例として、以下の3つを解説します。
キリン株式会社は、大手飲料メーカーです。
自社サイトの中で「キリンレシピノート」というコンテンツを運営しています。
ビールでおなじみの同社ですが、ビールに合うおかずやおつまみ、スイーツなどを紹介しており、営業色が非常に薄いのが特徴です。
キリン飲料に合う料理を紹介する位置づけですが、実際に掲載しているレシピは自社商品にほとんど関係ありません。
顧客の利益を優先したコンテンツになっており、キリンの理念を多くのユーザーに広めることに成功しています。
ベルリッツ・ジャパン株式会社は、語学レッスンを行っている企業です。
同社は「ベルリッツブログ」というサイトを運営し、語学学習に役立つコンテンツを配信しています。
音声付きでフレーズを学べるので、音で理解したいユーザーにとって役に立つコンテンツです。
コンテンツは、その時期によく検索されるキーワードを選定してタイミングよく配信されるため、効率よく読者を集めています。
ソウルドアウト株式会社は、日本の中小企業やベンチャー企業の事業支援を行っている企業です。
同社は2014年1月に「LISKUL」というブログを立ち上げました。
LISKULでは、同社のメイン事業であるリスティング広告などのデジタルマーケティングのノウハウを提供しています。
2017年には月間70万PVを達成し、サイト集客と合わせて無料ダウンロード用のeBookも用意しました。
eBookをきっかけに問い合わせ件数が増加していることから、模範的なコンテンツマーケティングの事例と言えるでしょう。
株式会社IDEAは、医療クリニックの開業・運営支援をはじめ、マーケティング戦略立案や広報支援事業を展開しています。
同社はクリニックの予約効率化のため、2015年にLINE公式アカウントを開設しました。
アカウント開設以後は予約数増加を目指し、友だち数を重視してLINEを運用しています。
サイトやSNS、院内にQRコードを貼るなど施策を打ち、友だち数を増やしてからは友だち追加広告の出稿を開始しました。
その後ステップ配信でも来院を促進した結果、予約件数が120%増加しています。
LINE公式アカウントを効果的に運用した好例と言えるでしょう。
有限会社味源は、食料品の製造・販売や、他社ブランドの企画開発を行っている企業です。
近年は「自然の館」という屋号を取得し、Yahoo!ショッピングなどのECサイトでも商品を販売しています。
同社は2021年10月にYahoo!ショッピングのLINE公式アカウントを開設しました。
日曜日のセール前日や当日午後には、事前告知・リマインド配信を行い、売り上げ5%アップを実現しています。
カードタイプメッセージも活用してクリック数も増加させており、LINE公式アカウントで高い成果をあげている事例です。
株式会社モバオクは、オークションサイト「モバオク!」を運営する企業です。
同社はスマホのプッシュ通知を上手く利用し、集客を行っています。
イベント開始前にプッシュ通知を送信することで、確実に購入意欲のある見込み客を特定のイベントへ誘導しているのです。
特に「1円オークション」は人気のイベントで、プッシュ通知によりさらなる盛り上がりを見せています。
メールよりも開封率が高いと言われているプッシュ通知を上手く利用した事例と言えるでしょう。
プッシュ型は能動的・プル型は受動的と、相反するマーケティング手法です。
プッシュ型はアプローチする顧客を選べ、ニーズのある顧客に行えば効率的に集客が行えます。
一方で、押し売り営業になりやすいデメリットもあります。
プル型は顧客との関係性が築きやすく、成約率が高いのがメリットです。
しかし、即効性がなく、専門的なスキルが必要になることが多いのが難点でしょう。
プッシュ型・プル型それぞれの違いを押さえ、自社にふさわしい施策を選択することが成功のポイントです。
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