LINE公式アカウントの運用を始めると、おしゃれなデザインにしたいと思うもの。
特にLINEはユーザーとのコミュニケーションツールであり、会社やサービスのブランド構築に直結します。
リッチメニューを使うと、凝ったおしゃれなデザインに仕上げることができます。
外部のデザイン会社に依頼すると、場合によっては高額な費用を負担することにもなりかねません。
手軽に自分でリッチメニューを作成するコツがあります。
この記事では、LINE公式アカウントのリッチメニューをおしゃれに仕上げる方法を解説します。
前半ではおしゃれに見せるポイントを伝授し、後半で企業の事例やリッチメニュー作成に便利なツールを紹介します。
目次
”おしゃれ”と一口で言っても、その解釈は人それぞれ。
マーケティング担当者、商品企画担当者、中間管理職、決裁者が異なるおしゃれ概念を持っているため、いくらマーケティング担当者が気に入ったデザインができても、他の人の賛同が得られないことがあります。
せっかく苦労してリッチメニューを作りこんでも、チームで同じ方向を向かなければせっかくの時間が水の泡。
「おしゃれなデザインにしたい」と抽象的に考えるよりも、ユーザーの感情を理解し、それを汲み取ったデザインに仕上げることを心がけてください。
LINEのリッチメニューのデザインは、「ユーザーは〇〇をする傾向があるので、この色を選んでいます」「この配置はユーザーのストレスを軽減するためのものです」といった説明ができると、説得力が増して決裁者の意思決定がしやすくなります。
ユーザーがボタンを押すまでにどのような感情を持っているのかを理解しましょう。
【デザインに共感する】→【気になる情報を見つける】→【その内容を確かめるためにボタンを押す】
ユーザーはボタンを押すまでにこの3つの過程を踏んでいます。
それを前提にすると、デザインにおいて行うべき要素は決まってくるのです。
ユーザーの感情に沿って工夫すべき要素はこの3つです。
ここでポイントとなるのは、ターゲットの設定です。
商品企画やWebサイトの構築、LINE公式アカウントの運用時は、必ずペルソナを設定してください。
ペルソナを設定することにより、誰にどのような情報を、どうやって見せるのかが決まってきます。
ペルソナは可能な限り細かく作りこむことをお勧めします。
例えば、20代男性をターゲットとした名刺ケースの販促を担当したとしましょう。
ペルソナを「起業家志望で時間節約志向型。
仕事も遊びも服はユニクロ、服選びの時間がもったいないと感じている人」と「大手商社のエリートで仕事と私生活充実型。仕事は10万円台のオーダースーツ、休日はアウトドア系ブランドに身を包み、キャンプに興じている人」と設定した場合で、デザインや情報の発信の仕方は大きく異なります。
ペルソナを設定したら、その属性に見合うファッション、ライフスタイルメディアなどを参考にし、配色やイラスト、フォント、画像などを集めると良いでしょう。
そのため、ペルソナ設定にはよく見るメディアや雑誌の名前を入れるとズレが少なくなります。
先ほどのペルソナで見ると、前者のペルソナは雑誌「Forbes」や「事業構想」に目を通している可能性が高いです。
後者は「BRUTUS」「Pen」といった雑誌が浮かんできます。
実際のデザインに落とし込む前に、雑誌に目を通して気になった箇所を切り抜き、スクラップブックにまとめておくと、デザインの作りこみ時に重宝します。
普段から特定の雑誌に目を通している人には、居心地が良いと感じる配色、フォント、画像があります。
その雰囲気をつかめると、共感を呼ぶデザインに仕上げることができます。
デザインの根幹を理解したら、次におしゃれに見せるコツをつかみましょう。
共感を呼ぶデザインには抑えるべき要素があります。
デザインとブランド構築は表裏一体。
デザインに統一感を持たせることで、ユーザーにブランドを喚起させることができます。
サービスや商品のマーケティングを行う場合、LINE公式アカウントやWebサイト、その他販促物のデザインにできるだけ統一感を持たせることが望ましいです。
「無印良品」や「星野リゾート」など、ブランド構築に成功している会社は、細部までの統一感が徹底しています。
CMや販促物を目にして「〇〇っぽい」という感情をユーザーに抱かせたら、ブランド構築に成功しています。
そうはいっても、Webサイトはすでに出来上がっているというケースも少なくないでしょう。
その場合は、最低限LINE公式アカウント内での統一感を徹底してください。
LINE公式アカウントのリッチメニュー単体で考えた場合、色調やトーンに統一感を持たせます。
目立たせる目的で、ボタンをピンク、緑、黄色などの鮮やかなものだけにしないでください。
ペルソナに沿った配色で、統一感を持たせることが重要です。
人間は表示された要素の20%程度しか頭に残らないと言われています。
マーケティング担当者はできるだけ多くの要素を伝えようとしますが、ほとんどは記憶に残っていないのです。
そのため、デザインはできるだけシンプルに、伝えたいことだけを全面に出すように心がけてください。
消費者が何かを購入する際、あらかじめ選択肢を絞り込んで提示した方が、購入率が上がることは科学的に実証されています。
「あれもこれも」と勧めるのではなく、「これこそが、あなたが望んでいるものです」と伝えることを心がけましょう。
iPhoneやメルセデス・ベンツの広告に、他の製品と比較する機能説明はほとんどありません。
その商品で得られるユーザー体験だけを全面に押し出しています。
洗練されたデザインの好事例です。
リッチメニューはLINE公式アカウントのトーク画面を開くと、最初に目に飛び込んでくるものです。
使用する画像にはこだわり抜いてください。
会社やサービスのイメージを喚起するもの、ユーザーに与えたいイメージ、印象に残りやすいものなど、目的に沿った画像を用意するとよいでしょう。
リッチメニューは、いかにしてユーザーにテキストを読ませるかがポイントとなります。
デザインに凝りすぎて文字が見づらくなることもしばしば。
読みやすいテキストのコツを学びましょう。
ボタンの文字、背景の色の組み合わせは重要です。
見やすさを重視した場合、濃い背景色なら文字色は薄くし、薄い背景色なら濃い文字色を選択することが基本です。
極端な例は黒字の背景には白字、白文字の背景には黒字を選択するのが最も読みやすいでしょう。
薄い青やピンク、黄色などが背景色にくる場合は、紺色、赤、緑などの字を選択します。
反対に紺色などの濃い色が背景になっている場合は、水色、白、ピンクなどで文字の色を塗ってください。
文字のサイズも重要です。LINEは9割以上がスマートフォンで見られています。
リッチメニュー作成作業はPCで行うことがほとんどですが、表示されるのはスマートフォンであることを忘れないでください。
小さすぎる文字が読まれることはありません。
メニューの文字数は極力少なくし、文字が目に入りやすくなるよう工夫します。
やってしまいがちなのが、ボタンに対して文字を大きくしすぎること。
実はボタンは余白が重要で、文字とのバランスが見やすさに影響します。
ボタンの大きさに対して、文字がぎっしり詰まっていると、逆に読みづらい印象を与えてしまうのです。
リッチメニューのボタン数は選択することができます。
ボタンの数も絞り込んでシンプルにすることを心がけましょう。
「人間は表示された要素の20%程度しか頭に残らない」
「あらかじめ選択肢を絞り込んで提示した方が購入率が上がる」
このことを忘れないようにしてください。
6つのボタンを配置するよりも、3つに絞り込むくらいがよいでしょう。
人は無意識に行動を促されていることがあります。
”刷り込み”を理解すると、ある程度ユーザーを意図的に誘導することができます。
単純な画像をボタンとして配置するだけでは、クリックできるものだと認識されない可能性があります。
ボタンだと分かる記号やテキスト(「▶」「続きが気になる人はここをクリック!」など)を配置し、クリックを促す仕掛けを作りましょう。
背景との境界を作ることも重要です。
枠線などを入れ、浮き上がって見えるようなデザインにしてください。
それだけでも立体感が生まれ、ユーザーにボタンであることを認識させやすくなります。
シンプルなデザインであればあるほど、境界を作ることでボタンなどを際立たせる効果は大きくなります。
リッチメニューを”おしゃれ”に見せるポイントを解説しました。
ここからは、企業の事例や実際に作る際のツールの紹介をします。
企業の優れた事例を見ていきましょう。
アルバイトや派遣などの求人情報を発信するLINE公式アカウントです。
タウンワークのLINE公式アカウントのリッチメニューは、求人条件を一覧でシンプルに配置しています。ユーザーの応募条件を事前に絞り込みやすくしているのです。
ユーザーはアルバイトの求人を探しているのではなく、自分の働きたい条件に合う仕事や場所を探しています。ユーザーの視点に立ったデザインです。
タウンワークはリッチメニューを活用したことで、アルバイトの応募件数が80%増加しました。
食べチョクは生産者から直接農産物を発送するサービスを展開しています。
LINE公式アカウントのリッチメニューでは、目的別に6つのボタンを配置しています。
ECサイトの場合、商品カテゴリー別(例えば、「野菜」「くだもの」「加工品」など)にボタンを配置してしまいがち。
しかし、食べチョクはその前段階の区分けを行っています。
これもユーザーの視点に立ったものです。
食べチョクの利用者は、生産者から直接届けられることに価値を感じています。
そのため、「今の旬の食べ物にどのようなものがあるのか」「この価値を他の人にも知ってもらいたい」「新しい生産者を見つけたい」と考えています。
ユーザーが何に価値を感じているのかを重視しているのです。
デザインも秀逸。
アイコンとテキストのシンプルな構成で、ボタンが目に飛び込んできます。
ドミノ・ピザのリッチメニューはクーポンや注文のボタンが目に飛び込んでくる構成をしています。
ボタンをクリックすると、公式ホームページやアプリのダウンロードページへと移行する仕組みです。
これはLINE公式アカウントの運用目的が、公式ホームページやアプリへの誘導となっているため。
目的を絞り込み、デザイン性を高めている事例です。
リッチメニューのデザインをゼロから作るのは難しい。
そう感じるかもしれません。
しかし、リッチメニュー作りをアシストしてくれるツールが数多く存在します。
ツールの利用料金も高額とは言えず、使いやすい価格設定になっていることがほとんど。
イラストレーターなどの本格ツールを使うのは気が引けますが、直観的な操作で同等の効果を得られるツールを紹介します。
引用:canva
一部無料で作成できるデザイン・動画編集ツールです。
数多くのテンプレートが用意されていることが特徴で、多種多様なデザインの中からぴったりのものを選ぶことができます。
男性ビジネスマン向けのカッチリとしたデザインから、若年層の女性にぴったりなかわいらしいものまで、ベースの幅が広いのも使い勝手のよいポイント。
検索画面で、「LINE リッチメニュー」などと検索をすると、ボタンなどのテンプレートが表示されます。
テンプレートの中からサービスや商品に合うものを選ぶと、効率的におしゃれなリッチメニューを作成することが可能です。
テンプレートのカスタマイズを行うと、料金が発生します。
ただし、数千円で済むケースがほとんどかつ、都度料金が発生するので初心者でも使いやすい仕様になっています。
引用:Googleスライド
Google Chromeで利用できるプレゼンテーションツールです。
パーソナルユースの場合は無料で使えます。
プレゼンテーションツールという特性上、LINEのリッチメニューのテンプレートが用意されているわけではありません。
どちらかというと、フリー素材などの画像にテキストを加えるなど、画像編集ツールとしての使い方がメインになるでしょう。
PCにあらかじめインストールされている画像編集ツールは、精度があまり高くありません。
Googleスライドは配置するテキストの高さ調整など、細部を作り込みやすいことが特徴です。
これと似たツールにMicrosoftのPowerPointがあります。
両者の違いはほとんどないに等しく、使いやすい方を選ぶとよいでしょう。
ただし、利用環境によっては、PowerPointは利用料金が発生します。
引用:PIXLR
無料で使える画像編集ツールです。
最大の特徴は、面倒な登録が必要なく、すぐに編集に取り掛かれる点。
ブラウザ上で使えるため、インストールやダウンロードをする手間もいりません。
日本語にも対応しているうえ、管理画面のデザインは洗練されているため、ある程度の編集知識があればすぐに作業できます。
保存するファイルタイプもJPG、PNGなどが選択できるため、目的に合わせた画像を作成することができます。
素早く画像編集したい人におすすめのツールです。
LINE公式アカウントの管理画面上でリッチメニューを作成する機能です。
Web版の管理画面にログインし、左サイドバーの「リッチメッセージ」を選択。
「作成」ボタンを押すと、ガイドに従ってリッチメニューの作成ができます。
簡単な作り方は、次章で説明します。
リッチメニューを作成するには、LINE公式アカウントにログインし、「トークルーム管理」→「リッチメニュー」→「作成」の順にクリックします。
リッチメニュー作成は10のポイントを押さえてください。
管理用のタイトルで、ユーザーに見せるものではありません。
編集者用のタイトルです。
リッチメニューは期間の設定が可能です。
季節ごとにリッチメニューを表示するなどのカスタマイズが可能です。
プレビューボタンが用意されています。
実際にユーザーにはどのように表示されるのかを確認することができます。
「デザインガイド」により、分割のパターンに合わせたテンプレートが用意されています。
簡易的なものが必要な場合はテンプレートを活用します。
リッチメニューの核となるテンプレートを選択します。
テンプレートを選択すると、リンクの領域を分割することが可能です。
注意が必要なのは、デザイン領域を分割するわけではなく、アクションが設定されるだけだということ。
デザインはそのアクションに合わせて作り込みます。
必要な画像をアップロードします。
選択するテンプレートに合わせて画像サイズを調整する必要があります。
必ず、サイズを事前に把握してください。
【画像サイズ表】
テンプレート(大) | テンプレート(小) |
2,500px × 1,686px | 2,500px × 843px |
1,200px × 810px | 1,200px × 405px |
800px × 540px | 800px × 270px |
テンプレートの対応箇所にアクションを設定します。
URL・クーポンを選択した場合、アクションラベルの入力も必須になります。
画面の下に表示されるメニューバーの文言を設定することができます。
ユーザーがトークルームを開いた際、リッチメニューが自動的に表示されるかどうかを設定することが可能です。
編集内容の保存を忘れないようにしてください。
リッチメニューのデザイン作成にまで手が回らない。
その場合は外注するのも手段の一つです。
LINE公式アカウントの目的は集客や購買です。
担当者のリソースは目的の達成に集中した方がよいでしょう。
外注するのに適した会社、サービスを紹介します。
SNSを活用したマーケティングを行っている会社です。
LINEを活用したマーケティングを得意としており、デザインはもちろん、戦略設計や運用体制の構築、支援を行うことができます。
伴走型のコンサルティングサービスも提供しており、Webマーケティングの課題を抽出し、その解決策の提案が可能です。
ご興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
特定のスキルを持った人をマッチングするサービスを提供しています。
「LINE メニュー作成」などのキーワードで検索をかけてください。
数千円から数万円で、リッチメニューを作成する人が一覧で並びます。
ココナラは価格が提示されているため、比較しやすいというメリットがあります。
クラウドソーシング仕事依頼サイトです。
発注者が金額、内容などの条件を指定し、募集をかけて応募を待つというスタイルです。
ココナラは相手から条件を提示されていますが、ランサーズはこちらから条件を提示できるというメリットがあります。
手っ取り早いのがココナラ、時間はかかるものの条件を指定できるのがランサーズです。
デザインを外注する最大のメリットは時間を短縮できる点です。
ここでポイントとなるのは、圧縮した時間でマーケティング担当者が何をするのかということ。
外注した場合は費用が発生する以上、その対価となる成果を出さなければなりません。
マーケティング担当者が考えるべきはこの成果。
成果にコミットする仕事ができるのであれば、決裁者を説得することができるでしょう。
例えば、KPIの設定、運用プランの構築、競合調査などです。
「リッチメニューはおしゃれにしたい」
LINE公式アカウントに取り掛かれば、誰もが一度は口にする言葉です。
デザインに取り掛かる前に、”おしゃれ”が何なのかを今一度考えてください。
重要なのはユーザーがどのように感じるかです。
マーケティングに成功している企業の多くはそれを中心に考えています。
INFLUはLINEのマーケティングを得意とし、自由度の高いコンサルティングサービスを提供している会社です。デザインや運用のご相談を受け付けています。
下記のURLからお問い合わせが可能なので、ご興味がある場合はぜひ、一度ご連絡ください。