LINE公式アカウントの開封率はメルマガの2~6倍と言われています。
情報を取得する端末がPCからスマートフォンに移行し、メールそのものを使わない人も出てきました。
BtoCマーケティングの主流はメルマガからLINEやアプリへと移っています。
LINE公式アカウントを運用し始めて気になるのが、開封率の適正水準。
この記事では、平均的な開封率や開封率を高めるためのコツ、取り組みについて解説します。
目次
LINE公式アカウントの平均的な開封率は60%程度と言われています。
開封率の高さは、LINE公式アカウントをマーケティングで使うことの強力な武器と言えます。
開封率がどれだけの成果を生むのか、シミュレーションしてみましょう。
LINEの開封率が60%、メルマガの開封率が20%だった場合の成果の違いを予測します。
登録数(友だち数)は1,000、3,000、5,000で、ブロック率は10%だったとします。
単価800円の商材で、10%割引クーポンを配信したとしましょう。
閲覧した人の10%がクーポンを利用したと仮定します。
登録数が1,000のときはLINEとメルマガで26,000円、登録数が5,000になると130,000円近い売上差が生じています。
■成果シミュレーション(基本値:LINE開封率60%、メルマガ開封率20%)
登録数 | 1,000 | 3,000 | 5,000 | |
正味登録数 | 900 | 2,700 | 4,500 | |
LINE | 閲覧数 | 540 | 1,620 | 2,700 |
クーポン利用 | 54 | 162 | 270 | |
売上 | ¥38,880 | ¥116,640 | ¥194,400 | |
メルマガ | 閲覧数 | 180 | 540 | 900 |
クーポン利用 | 18 | 54 | 90 | |
売上 | ¥12,960 | ¥38,880 | ¥64,800 | |
差額 | ¥25,920 | ¥77,760 | ¥129,600 |
シミュレーションを組むと、開封率の差が成果にどれだけ影響を及ぼすのかがわかります。
LINEの開封率60%というのはあくまで平均的な水準であり、運用方法によって底上げを図ることができます。
開封率は配信する時間帯に大きく左右されます。
ターゲットやペルソナのライフスタイルに合わせて配信しましょう。
学生や会社員であれば、通勤・通学や休み時間、主婦層であれば、昼食後などです。
配信する時間に正解はありません。
ただし、各カテゴリにおいて、配信が多い時間帯があります。
カテゴリ | 配信時間 |
ショッピング | 8時、11時 |
ファッション | 8時~9時、12時、20時 |
グルメ | 10時~12時、16時~18時 |
美容 | 12時、20時 |
Campaign Monitorというメルマガ配信プラットフォームの提供会社は、メールマガジンの検証結果を公表しました。
それによると、開封率が最も高かったのは火曜日の18.3%、最も開封率が低かったのが土曜日の17.5%という結果が得られています。
メルマガの配信結果ではありますが、配信する曜日を選定する際の参考になります。
配信頻度も重要です。過度な配信は開封率ではなくブロック率を高めることに繋がります。
LINEはメッセージ配信の目安を月2~4回、タイムライン投稿を週1~3記事としています。
注意したいのは、LINE公式アカウントは従量課金制になっている点。
メッセージの配信数が多くなると発生する費用が大きくなります。
■LINE公式アカウントの料金表
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額固定費 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ通数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金 | 不可 | 5円 | ~3円 |
月5,000円のライトプランを契約した場合のシミュレーションをしてみましょう。
友だち1に対して月4回の配信を行う計画を立てたとします。従量課金の金額は以下のようになります。
友だち数 | 1,000 | 3,000 | 5,000 | 7,000 | 10,000 |
月間配信数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
総メッセージ数 | 4,000 | 12,000 | 20,000 | 28,000 | 40,000 |
無料メッセージ数 | 15,000 | 15,000 | 15,000 | 15,000 | 15,000 |
追加メッセージ数 | – | – | 5,000 | 13,000 | 25,000 |
課金額 | – | – | ¥25,000 | ¥65,000 | ¥125,000 |
この試算によると、従量課金が発生するのは友だち数が5,000前後となってから。10,000に達してもスタンダードプランに変更する必要はなさそうだということがわかります。
LINE公式アカウントのメッセージ配信の定義、基本を抑えましょう。
LINE公式アカウントでは配信できるメッセージが大きく2つに別れています。
通常メッセージとリッチメッセージです。
通常メッセージは、1度に3つの吹き出しまで配信することができます。
テキスト、画像、スタンプといった形です。
複数の内容を組み合わせることができます。
リッチメッセージは、画像とテキスト情報を1つにまとめて配信できます。
メッセージは最大6分割でき、1つのブロックに対して画像を1枚、URLを1つ入れられます。
ユーザーに視覚的に訴求できるメリットがあります。
通常メッセージは3つの吹き出しまでを1つの配信とカウントします。
LINEの公式アカウントの友だちになっているユーザーは、すでに店舗やサービス、商品に興味を持った人です。
メッセージ配信のポイントは、ユーザーの期待に応える情報を提供することです。
効果が高いのは、クーポンやリピーター向けのお得情報、LINE独自のキャンペーンです。
初回メッセージは、友だちになった際に最初に受け取るもの。
全ユーザーが目にする内容です。
初回メッセージの内容にはこだわりましょう。
以下4つの要素をぜひ盛り込んでください。
3.のプッシュ通知を切る方法は意外と重要です。
この案内をすることにより、ブロック率の低減を図ることができます。
多くのLINE公式アカウントのメッセージ配信は、クーポンがメインになるでしょう。
開封率が高く、売上に直結するからです。
クーポンの内容にも気を配ってください。
例えば、TwitterやInstagramでも同様のクーポンが配信されているのであれば、ユーザーはLINE公式アカウントに登録するメリットが感じられません。
友だち限定クーポン、限定キャンペーンなどを行うと、ファンを大切にしているという意識を持ってもらえます。
LINE限定の他、期間限定、〇〇購入のお客様限定など、特別な価値を持たせたクーポンやキャンペーンは開封率やクーポンの利用率、キャンペーン参加率が高まる傾向があります。
LINE公式アカウントにはアンケート機能がついています。
アンケートに回答したユーザー限定クーポンは、アンケートの回収率を高めることにも繋がります。
LINE公式アカウントは、配信に関する詳細なデータを抽出することができます。
開封率が高い配信はどのようなものなのか、利用率の高いクーポンは何なのかを割り出しましょう。
正確な分析結果を出すためには、事前の設計が重要です。
曜日、時間帯、クーポン内容など、比較する軸をあらかじめ決めておき、それを少しずつずらして検証するのが正しいやり方です。
作り込みの自由度の高いリッチメッセージは反響を高めやすくなります。
掲載する写真や色、テキストでURLのクリック率を高めることが可能です。
フード関連は暖色系、ビジネス関連は寒色系、高級感を出すには紺色や黒を使うなど、デザインのセンスや知識が求められる分野です。
クリエイティブの質や種類でどれだけクリック率が高められるのか、といった高度な検証を行うことができます。
配信できるメッセージは、テキストやクーポンだけとは限りません。
配信できる種類を覚え、ユーザーに告知したい内容に応じてどの配信スタイルが相応しいかを想像できるようにしましょう。
意思決定のスピードを上げられ、精度も高められます。
1吹き出し500文字までのテキストメッセージです。
最近では、文章ではなく画像やクーポンのみの配信も目立つようになりました。
テキストを読む習慣がなくなっているためです。
属性を絞り込んで送るメッセージです。
主に以下のようなセグメントができます。
【友だち期間】
【年齢】
【OS】
【エリア】
特に使い勝手の良いのが、友だちになってからの期間。
リピーターからファンへの育成に有効です。
特定のキーワードに反応し、自動的に返信できるメッセージです。
飲食店の「メニュー」「営業時間」「行き方」といったキーワードと、それに対する回答を設定しておくと、ユーザーからの質問に自動的に答えてくれます。
24時間365日休むことなく返答するため、ユーザーには便利な機能です。
運用側も電話などの問い合わせが減り、効率化を図ることができます。
リッチメッセージを活用することにより、商品やサービスの魅力を伝えられます。
画像やクーポンにリンクなどの設定ができるため、ユーザーにアクションを促せます。
クリエイティブの質が重要であり、デザイナーなどと共同で進めるのが良いでしょう。
自動再生される動画を配信するものです。
縦、横、正方形など様々な動画の形態に対応しています。
遷移先の設定もできるため、ユーザーを公式サイトなどへ誘導することが可能です。
ユーザーにストレスを与えることなくメッセージを伝えられる動画は、マーケティングで重要なコンテンツとなりました。
場合によっては、テキストよりも動画の方が効果が高いことがあります。
カードタイプをもとにメッセージを作成できる機能です。
カードタイプはテンプレートが用意されており、用途に合わせて選ぶことができます。
価格を入れられるテンプレートは、飲食店の限定料理の紹介やホテルの宿泊プランなどを紹介するのに適しているでしょう。
住所が入れられるテンプレートは店舗紹介に向いています。
名前が入れられるものは、美容師やエステティシャンの紹介ができます。
LINE公式アカウントは抽選機能をつけることができます。
抽選にチャレンジして「あたり」が出た人にのみクーポンを配信できます。
クーポンにゲームの要素をプラスして、飽きさせない工夫をしましょう。
商品購入や来店時に特典としてポイントを付与するカードです。
飲食店や小売店では紙のスタンプカードを使っているケースがありますが、LINE公式アカウントを運用するとそれがデジタル化できます。
アンケートを実施する機能です。
選択式、自由記述式のどちらでも設問が作れます。
2つのキャンペーンを実施したが、どちらが支持されたのかを知りたい。
リンゴと抹茶のサワーを導入しようと考えているが、ユーザーが求めているのはどちらなのか。
このような疑問に答えはありません。
ユーザーに聞いてしまうのが一番です。
LINE公式アカウントは、基本的にユーザーやファンが友だちになるもの。
店舗やブランドへの選好度が高い人の意見が聞けるというメリットがあります。
LINE公式アカウントは、ABテストメッセージを作成することができます。
複数のメッセージ内容を作成し、特定の割合のユーザーに配信。
AB配信後のそれぞれのパフォーマンスを確認して次に活かすことができるのです。
ただし、この機能を使うにはターゲットリーチが5,000人以上必要です。
管理画面で確認できる指標は多く、PDCAサイクルを回すのに便利です。
LINE公式アカウントで抽出できる指標は以下の通りです。
LINE公式アカウントは様々な機能が搭載されており、使いこなすには時間がかかります。
「色々やってはみたけれど、成果が得られなかった」というのもよく聞く話。
LINE公式アカウントの運用を成功させるには、コツがあります。
運用を始める際は、必ず明確な目的を設定してください。
LINEの友だちは、リピーターやファンの潜在層です。
その人たちに対して、何を成し遂げたいのかを決めておくのです。
ユーザー側の目的と、運用側の目的の両方を決めるのが理想的です。
例えば、フィッシンググッズを扱う小売店がLINE公式アカウントを運用したいと考えていたとします。
その場合、以下のような目的が設定できるでしょう。
【ユーザー側の目的】
釣り初心者は視野が広くなく、特定の釣り方を楽しんで終わってしまうはずだ。
LINE公式アカウントを通して、そのエリアで楽しめる釣りの種類(海、湖、河川、湖沼など)を紹介し、釣りの奥深い世界を知ってもらいたい。
【運用側の目的】
釣り初心者に様々な釣りのタイプを紹介し、目的に合わせたフィッシンググッズを繰り返し買ってもらうようにしたい。
このように設定をすると、どんな情報を流すべきなのか、KPIとしてどのようなものを設定すべきなのかが見えてきます。
メッセージに流す内容は、季節に合わせた魚種、近隣エリアのフィッシングポイント、タックルの紹介になるでしょう。
目的を考慮すると、海釣りなどの特定エリアに限定した情報ではなく、海、河川、湖沼など幅広く紹介するのが良さそうです。
その結果として、店舗で釣り道具を購入する頻度が高まります。
目的を経営指標に捉えなおすと、リピーターの利用頻度向上となります。
KPIはクーポンの利用率などが適切です。
運用目的を決めるのは簡単ですが、実際に設定している人は意外と多くありません。
マーケティング戦略と聞くと、何か複雑なものを考えてしまいがちです。
戦略という言葉は極めて抽象的で、孫氏の兵法に「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という言葉がありますが、それをビジネスの世界で活用することができるのはごくわずかでしょう。
LINE公式アカウントの運用も戦略が重要ですが、戦略を立てるために必要な要素すらイメージができない。そのような人が大半なのではないでしょうか。
実はそれほど難しく考える必要はありません。
KPIを組み立てると、それが戦略になります。
先ほどのフィッシンググッズのお店を例にとりましょう。
LINE公式アカウントの運用目的はリピーターの利用頻度向上でした。
手始めに友だち数を考えましょう。
1日の来店数はどれほどでしょうか?平均で100人だとします。
10%の登録を目標とすると、1ヶ月で友だち数は300。
ブロック率3%、開封率60%、クーポンの利用率10%という形で各指標を決めます。
その指標を実現するためにはどうするかを考えます。
運用したばかりのタイミングは、友だち数の確保がカギを握ります。
レジの際に声掛けを徹底し、10%を死守するのが運用開始3か月の重要KPIとなります。
ある程度友だちが増えると、ブロック率が上がり、開封率が下がる傾向があります。
しかし、友だち数は1,000程度なので、数%は誤差の範囲内と言えます。
それであれば、次の3か月はクーポンの利用率を高めるための取り組みを強化するのが良さそうです。
友だち数が2,000を超えたあたりから、開封率の低下は解決したい問題になります。
このようなステップを踏むと、3か月ごとに力を入れるべきポイントが見え、何をするのかが明確になってきます。これが結果的に戦略になります。
データの振り返りは、定例ミーティングを設けてしまうのが一番の解決方法です。
強制的に関わるメンバーを集めてしまうのです。
マーケティング担当者が数字を抽出することになりますが、データを精査する作業中に気づくことも数多くあります。
できるだけ数字に触れた方がマーケティングは有利に働きます。
意外と多いのが、課題が見つかっているのに何となくミーティングが終わってしまうこと。
次に誰が何をいつまでにするのかを決めましょう。
例えば、想定よりも友だちが獲得できていなかったとします。
「レジ打ち時の声掛けて徹底されていない」
「店内ポップで告知もした方がよいのでは?」
「Twitterを使ってLINEの告知をすると認知が広がるかも」
このような声が出たのであれば、いつまでに誰がポップを作成するのか、Twitterで告知をするのはいつ、誰なのかを決めてしまいます。
レジ打ちの声掛けができていないのであれば、レジに大き目のポップを立てることも対策の一つとなります。
必ず次の運用に活かせるようにしましょう。
LINE公式アカウントの開封率の目安は60%ですが、商材によっては40%程度のことももちろんあります。
その際、放っておけば60%程度まで上がるだろうと楽観的に考えないでください。
40%をベースとして、どのように開封率を高めたら良いのかを考えましょう。
施策は数多く浮かびますが、どれも数%の改善にしか繋がらないケースがほとんどです。
ホームランはなく、ヒットや送りバントを繰り返して勝利を勝ち取るイメージです。
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