「ECサイトとよく聞くけれども、よく分からない」
「自社でECサイトを始めるためには、どうすればよいのか知りたい」
このようにお悩みの人もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に初めてECサイトを立ち上げる担当者は、何から始めればよいかわからずに悩んでしまいますよね。
今回の記事ではECサイトの概要や種類、必要な機能、業務などをわかりやすく解説します。
自社でECサイトを成功させるコツについて、成功事例を交えながら紹介しますのでぜひご参考にしてください。
目次
ECは「Electronic Commerce」の略であり、電子商取引を意味する言葉です。
ECサイトとは、インターネットを通じてモノやサービスを売買する全てのWebサイトのことを指します。
ネットショップ以外にも、ネットオークションサイトやコンテンツ配信サイト、株などのオンライントレードサイトもECサイトだと言えるでしょう。
ECサイトはWebサイトなので、時間や場所を問わずどなたとでも取引が可能です。
今回の記事では「ECサイト=ネットショップ」と定義して、詳しく解説していきます。
ECサイトの市場は、2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響によってやや縮小したものの、基本的には右肩上がりで成長しています。
日本のBtoC-EC市場が、2019年に19兆円を超えたことを経済産業省が発表しました。
2020年は物販分野が大幅に伸張しています。これは、緊急事態宣言の発令によって消費者の行動が制限され、実店舗からECサイトへの流れが加速したためです。
ヒトは一度利便性の高さを享受すると元に戻ることは少ないと言われており、今後もECへの流れは加速すると予想されています。
食料や飲料水、生活家電、衣服など生活に関わるものは、すべてECサイトで揃うと言っても過言ではありません。
ECサイトは以下の4つの種類に分別されます。
自社でECサイトを立ち上げる場合、どの種類を選べばよいか分からない人も多いでしょう。
ここからは、4つの種類の概要やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
ECサイトと聞いて、多くの人がイメージするのがモール型だと思います。
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングと聞くと、ピンとくる人も多いでしょう。
モール型のECサイトは、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールに出店する方式です。
モール自体がユーザーから信頼されているため、立ち上げたばかりのECサイトでも集客しやすくなります。
出店後はモールからのサポートが受けられるのもメリットです。
一方で、手数料の発生がモール型のデメリットだといえます。
モールに登録する場合は、手数料がどのくらい発生するのか確認して出店しましょう。
ショッピングカートASPは、クラウド上でECサイトを構築できるサービスで、BASEやSTORESが有名です。
モール型とは異なり、ショッピングカートASPを利用すると自社ドメインを持つことになります。
ショッピングカートASPは、ECサイトに必要な機能があらかじめ備わっているため、すぐにECサイトをスタートできます。
初期費用やランニングコストが安価で、スモールスタートしやすいのがメリットです。
デメリットとしては、共通の機能をクラウド上でレンタルするという性質上、オリジナリティを出しにくいことが挙げられます。
オリジナリティを出したい場合は、フルスクラッチ型がおすすめです。
ECパッケージ型は、ECサイトの構築に必要な基本機能がパッケージ化されているソフトウェアです。
ソフトウェアをインストールして、基本機能に加えてオリジナル仕様でカスタムできます。
ショッピングカートASPと同様に、ECサイトに必要な機能が最初から備わっているのが特徴です。
独自性の高いECサイトを短期間で構築したい企業向けのサービスと言えるでしょう。
ただ、費用が高い傾向にあり、年間運用のランニングコストもかかるため、資金力がない会社では導入しにくいのが難点です。
フルスクラッチ型のECサイトは、何もない状態から独自に構築するタイプのものです。
ショッピングカートASPやECパッケージ型とは違い、ゼロから開発するため、ECサイトを自由に設計できます。
オリジナリティの追及や、自社に合わせたECサイトが欲しいという企業におすすめです。
ただ、当然ながら自社でECサイトを構築するだけの技術と資金力がない会社では、フルスクラッチ型は採用しにくいので注意しましょう。
ECサイトを開設する際は、以下の機能を盛り込むことが大切です。
これらの機能が相互に連携することで、初めてECサイトとして機能します。
一般的なECサイトに求められる機能をそれぞれ確認していきましょう。
商品管理機能は、ECサイトに商品情報を登録して、編集する機能で、ECサイトで表示される商品名や画像、説明文、価格などを管理します。
商品管理機能には、ユーザーが商品を購入したら在庫数を減らし、仕入をしたら増やすという在庫管理機能も含まれます。
ECサイトの核となる機能であり、この機能無しではECサイトは成立しません。
会員管理機能では、ECサイトで商品を購入したユーザーや、会員登録をしたユーザーの情報を管理します。
氏名や住所などは個人情報のため、取り扱いには注意が必要です。
会員管理機能には、問い合わせ管理機能やメール配信機能も含まれます。
前者はお問い合わせフォームや電話・FAXなどの問い合わせ内容を一元管理する機能です。
後者は注文完了、発送完了などのタイミングに応じて自動的にメールを配信する機能を指します。
決済機能は、ECサイトで注文を受ける際に必須の機能です。
多くのECサイトではショッピングカート方式を採用しており、カートを商品に追加して、まとめて決済を行います。
クレジットカード、代金引換、コンビニ後払いは三大決済方法であり、導入が必須です。
最近は、PayPayなどのQRコード決済を導入するECサイトも増えています。
決済機能を充実させることで、ユーザーの満足度を向上させられるでしょう。
ECサイトはインターネット上での取引となるため、セキュリティには万全を期する必要があります。
SSL(暗号化通信)や、クレジットカードの不正使用を防止する3Dセキュア・セキュリティコード入力への対応は必須です。
サイバー攻撃を受けて個人情報が漏洩した場合は、多額の損害賠償が発生する可能性もあります。
セキュリティ機能が備わっていないECサイトは、ユーザーからの信頼も得られないので、セキュリティはしっかりと行いましょう。
注文管理機能は、ユーザーが購入した商品を管理するために必要な機能です。
受注や配送状況を管理することで、ユーザーに商品を確実に届けられます。
もし注文管理機能がないと、商品の注文状況や配送状況が把握できず、スムーズなECサイト運営ができません。
注文管理機能は、マーケティングにも活用可能です。
購入された商品を一元管理することで、人気商品の傾向やターゲット層が明確になります。
ECサイトは見た目で勝負が決まると言っても過言ではありません。
魅力的な商品やサービスを展開していても、サイトのデザインがイマイチであれば売上は伸びないでしょう。
デザイン作成機能では直感的な操作により、簡単にECサイトのデザインが制作できます。
テンプレートを選んで必要な項目をアレンジすることで、魅力的なECサイトを構築することが可能です。
ECサイトで売上を拡大するためには、販促機能が重要です。
クーポンの発行を行いリピートオーダーを狙ったり、ポイントの還元セールを行ったりして、ユーザーを刺激します。
販促機能として有名なのが、レコメンド機能です。
「あなたにおすすめの商品はこちら」など、商品の検索履歴やユーザー属性から最適な商品を提案します。
対面で接客ができないECサイトにおいて、販促機能は必須と言えるでしょう。
ECサイトで成果を上げるためには、分析機能が欠かせません。
ユーザーがどのデバイスからアクセスして、何の商品を購入したのかというデータが分かるのが分析機能です。
分析機能で分かるデータには以下の4つがあります。
これらのデータから売れ筋の商品や閲覧しているユーザー層が分かるため、ECサイトの改善に繋げられます。
改善点を見つけるためにも分析機能は必須です。
ECサイトを運営する上では、以下の業務が発生します。
ECサイトを運営して成果を上げるためには、これらの業務を効率的に行うことが大切です。
本章でそれぞれの業務を詳しく確認していきましょう。
商品をECサイト上に登録して、実際にサイトを運営する業務です。
商品写真の撮影、説明文のコピーライティング作業も業務に含まれます。
リアル店舗と違い、商品の実物が確認できないECサイトでは商品写真がとても重要です。
ユーザーが何を知りたいのか、どのような写真なら興味を持つかなど、事前に考えておくことが重要となります。
また、あらゆる角度からの写真を掲載して、細かく確認できるようにしておくとユーザーが検討しやすくなります。
商品管理とサイト運営管理には、サーチエンジンマーケティングなどWebマーケティングの知識が必要です。
デザイン業務は、ECサイトのビジュアルや、UI(ユーザーインターフェース)の策定を行います。
ショッピングカートASPのようにデザイン機能が備わっているECサイトであれば、プログラミングの知識は必要ありません。
フルスクラッチ型の場合はHTMLやCSS、画像データの加工など専門的な知識が必要となります。
デザイン業務はECサイトの売上に直結する重要な業務なので、慎重に行いましょう。
ECサイトの注文を受け付け、ユーザーからの入金を確認する業務です。
注文書の内容を見て、在庫状況を確認し、ユーザーに対して納期の連絡を行います。
受注管理業務がうまく運用できない場合、ユーザーに迷惑がかかり信用を失うこともあるので注意が必要です。
注文書の内容確認、在庫状況のチェック、ユーザーからの入金日時の確認など、細かい作業が必要となる業務です。
ECサイトで商品を購入したユーザーからの問い合わせや要望に対応する業務です。
メールや電話など、基本的な接客スキルが必要となります。
非対面で接客を行うのでユーザーを不快にさせないためにも、リアルより丁寧なコミュニケーションが必要です。
不良品のクレーム対応などは、特に慎重に行いましょう。
顧客対応を間違えば、ECサイト全体の信用が失われる可能性もあります。
逆に適切な顧客対応ができれば、ファンやリピーターにすることが可能です。
自社の倉庫に商品を保管し、ユーザーからの注文に応じて、商品を発送する業務です。
商品の販売動向を予測して、適正在庫の数量を保てるように仕入先に発注します。
万が一、欠品となった場合は機会損失になるため注意が必要です。
商品の発送業務は、ただ商品を送れば終わりというわけではありません。
商品が破損しないように、丁寧なラッピング処理を行うことでユーザーの満足度を上げられます。
インターネット上で運営するECサイトは、アクセス解析をすることで改善点を見つけやすくなります。
Googleアナリティクスのeコマーストラッキング機能を使えば、ECサイトで重要となる以下の項目を解析することが可能です。
ECサイトはインターネット上で出店するため、好調や不調の原因をすばやく分析できます。
アクセス解析業務を行い、常にECサイトの改善点を探すことが大切です。
ECサイトの売上を増やすためには、マーケティング・プロモーションが欠かせません。
マーケティング・プロモーションでは、以下の3つを意識します。
ただ闇雲に集客数を集めても、コンバージョンしなければ売上は伸びません。
ターゲットとなる層を明確にして、集客とコンバージョン率の両方を高める施策を打つ必要があります。
ターゲットに響くマーケティング・プロモーションができれば、自ずとリピーターは増えていくでしょう。
お金のやり取りが発生するECサイトでは、当然ながら経理業務が必要です。
ユーザーへの請求書発行、仕入先への振込み、伝票の仕訳、納税処理など幅広い業務となります。
売上計上やクレジットカードの決済システムからの入金確認など、取引量が増えれば、手間も増えるのが欠点です。
ECサイトの経理業務はクラウドの会計ソフト等を導入し、なるべく効率を上げて、他のコア業務に集中しましょう。
ECサイト運営を成功させるためには、以下のコツを実践してみましょう。
それぞれを詳しく確認していきましょう。
現代はSNSが発達して、誰でも気軽に情報発信ができるため、ユーザーの発信により商品の売れ行きが変わることもあり得ます。
ユーザーファーストでECサイトを考えることで、ユーザーの満足度を向上させましょう。
目に見えるところはもちろんですが、普段は気にしないような細部まで、ユーザーファーストで考えることが大切です。
ECサイトをオープンする前はユーザーファーストの視点で、自社でもテストを重ねましょう。
ECサイトからの売上を伸ばすためには、集客してリピーターを増やす必要があります。
自社でECサイト用のアプリをリリースすれば、ユーザーを囲い込めるでしょう。
スマホのアプリでアクセスしやすい状態を作ることで、自社のECサイトへ効果的に集客が可能です。
アプリで最新情報やキャンペーン情報を伝えることで、ユーザーの購買意欲を刺激できます。
自社でアプリを開発する自信がない場合は、LINEミニアプリを活用するのも一つの方法です。
LINEミニアプリは短期間で開発可能で、LINE公式アカウントと連携できるメリットがあります。
ECサイトにユーザーにとって有益なコンテンツを掲載することで、ファンの獲得が可能です。
アパレルブランドのECサイトを例にして、考えてみましょう。
ECサイトには当然ながら、商品が多数掲載されています。
新たなコンテンツとして、アイテムのコーディネートについてのコンテンツを掲載します。
コーディネートに困っているユーザーが「この服の組み合わせは良い感じだな」と感じれば、購買意欲は高まるでしょう。
コンテンツは一度作ればECサイトの資産となるので、ぜひ取り組んでみましょう。
TwitterやInstagramは、テレビに負けないほどの影響力があります。
ユーザーの多くはSNSから情報を得ているため、SNSマーケティングを行わない手はありません。
前述したコンテンツマーケティングとの相性も良く、話題性を一気に広められます。
例えば、コンテンツをリリースすると同時に、SNSでも紹介します。
インフルエンサーマーケティングを行い、紹介してもらうことでさらに多くの新規ユーザー層にアピールできるでしょう。
また、SNS広告を併用して、さらに新規ユーザー層にアピールするのも1つの手段です。
本章では、ECサイトを運営して成功した事例を取り上げます。
上記4つの企業は、どのようにしてECサイトを成功させたのでしょうか?
成功事例を確認して、自社のECサイト運営に役立てましょう。
カメラ用品を扱うカメラのキタムラは、オムニチャネル戦略で成功した企業です。
オムニチャネル戦略とは、店舗やECサイト、SNSなどオンラインやオフラインを問わず顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販促に繋げる戦略を指します。
全国に約1,300の実店舗があるカメラのキタムラでは、ECサイトと実店舗を融合させたサービスを展開しています。
ECサイトでは、購入した商品がユーザーの自宅に届くのが一般的です。
カメラのキタムラでは、ECサイト利用者の約8割が実店舗で商品を受け取ります。
高額商品のため、実店舗でスタッフから安心して受け取りたいというニーズが高いからです。
全国に実店舗を出店し、高品質な商品を販売しているカメラのキタムラだからこそできる戦略だと言えるでしょう。
ユニクロは新型コロナウイルスの影響から、ECサイト事業を強化しました。
コロナ禍で実店舗が休業に追い込まれる事態になると、デジタル広告でECサイトへの誘導を強化することが多いです。
そこで、ユニクロはアプリ会員限定価格をスタートさせるなど、Webでのサービスを充実させたことにより、ECサイトの売上が拡大しました。
ユニクロのECサイトでは、商品詳細ページから店舗にある在庫を確認できます。
試着をしてから購入したいユーザーのニーズを満たすことができるため、実店舗とECサイトを融合させたサービスだと言えるでしょう。
「ファルファーレ」というオリジナルバレエシューズブランドを展開する、クロシェもECサイトで成功しています。
2018年のECサイト立ち上げ当初は、実店舗を優先する社内方針から苦戦しました。
最初は電子カタログのような存在だったECサイトですが、オンライン接客を強化したことで一変します。
コロナ禍で外出自粛が続くなか、ユーザーの不安を解消するためにECサイト内でチャットサービスを開始しました。
商品のコンセプトを実店舗と同様に伝えられるようになり、ECサイトでの売上が拡大したのです。
ホームセンターで約1,200の実店舗を持つコメリは、ECサイトとの連携を進めています。
EC化率10%を目指すコメリで注目されるのが、アプリを使った戦略です。
2019年秋に刷新した「コメリアプリ」では、欲しい商品を検索すると実店舗での在庫数が分かります。
最寄りの実店舗をマイストアとして登録しておくと、必要な数を取り置きできるので、送料無料で実店舗での受け取りが可能です。
コメリアプリではマイストアからの電子チラシを受け取れるので、近隣ホームセンターとの差別化もできます。
アプリを使って、ユーザーを囲い込む戦略が成功している事例と言えるでしょう。
コロナ禍で生活様式が一変し、今まで以上にECサイトの存在感が増しています。
ただ、ECサイトを成功させるためには、概念と運営のコツを身に付けることが大切です。
制作や販売、マーケティングに及ぶさまざまな視点で戦略を考える必要があります。
そこで、ECサイトの運用をご検討の方はぜひLeaをご利用ください。
Leaでは初心者でも簡単にECサイトを開設することが可能です。
Leaの詳細は以下からチェックできます。