「商品設計を担当しているものの、果たして自分のやり方が正しいのかわからない」
「新商品の開発を行っているが、いつも設計の段階でつまずいてしまう」
商品開発を担当して数年になる人の中にも、このような漠然とした疑問を抱いている人は少なくありません。
この記事では、商品開発を行う上での目的設定や手順、押さえておきたいポイントを解説します。
「商品設計についての理解を今一度見直し、改善につなげたい」と考える方はぜひ、この記事を参考にしてください。
商品設計は、まず何を目的とするかで行う施策の内容が大きく変わってきます。
商品設計を行う上での主な目的として、以下の4つが挙げられます。
以下段落では、それぞれの目的においての商品設計の方法について解説します。
商品の機能向上を目的とする場合、設計段階においての最大のポイントは「どこがどう変わり、何が起こるのか」を言語化することです。
そのためには、設計段階において開発メンバーに商品の機能の変更点や改善点を共有し、認識を合わせておくことが必要不可欠となります。
管理側が実際に手を動かすメンバーに対して機能の追加理由を明確化した設計図を共有した上で、製造時における注意点を説明することがポイントです。
商品の品質向上・改善を目的とする場合、設計段階において「〇〇ができる」というよりも「〇〇があるので安心」という点にフォーカスすることがポイントとなります。
多くの顧客が「品質」という観点に関して求めるのはプラスアルファの拡張機能ではなく、最低限の使用用途が万全の状態で備わっていることです。
商品設計を行う際には顧客の抱えている問題をダイレクトに解決し、安心させられることを目標にすることを心がけましょう。
商品のユニークさを強みとしてアピールする場合、設計段階で「他社製品と明確に差別化できる強み」を組み入れることが必要不可欠です。
同業他社が開発している製品を批判をせず、良さや強みを認めた上で明確に差別化できるポイントをアピールできる製品を作り出すための設計を行います。
他社製品と類似した見た目で同様な用途の製品を開発する場合、明確に劣るポイントを極力少なくすることも大切です。
そのためには設計段階において、製造を行うメンバーに共有する設計図に「〇〇を必ず満たすこと」などの要求事項を加えるようにしましょう。
商品の品揃えの良さをアピールする場合、設計段階においてはジャンルの豊富さを武器にするために、より多くの設計図を作成することがポイントです。
それぞれの商品自体の使用用途は似たり寄ったりでも、品揃えの良さをアピールする場合は同業他社よりも数多くの製品を製造・販売する必要性があります。
開発する商品が普段の生活ではあまり目にしないBtoB向けの製品の場合、数多くのニッチな分野にそれぞれ特化した製品を作り出すことが求められます。
また開発する商品が普段の生活で目に触れることの多いBtoC向けの商品の場合は、機能は同等でもデザインなど見た目に特化した製品を設計するのも選択肢の一つとなります。
設計段階においては作成した数多くの設計図それぞれに「〇〇に特化している」「〇〇が好きな人向けに製造する」目的があることを製造メンバーに共有するようにしましょう。
商品設計の段階でよくある問題として、以下4つが挙げられます。
これらの問題についてそれぞれ詳しく触れたのちに、具体的な解決策をそれぞれ解説します。
商品設計でよくある1つ目の問題は、そもそも顧客側の意図や解決したい問題に向き合えていないことです。
これは営業担当者が顧客からのヒアリングを行ったのち、自らの知見をもとに「これは〇〇の方が良い」と勝手に判断することが原因であるケースが多くなっています。
このようなケースをなくすためにも、管理側の人間は「顧客の抱えている問題」を一度自らの目でチェックした上で、営業担当者との認識の擦り合わせを行う必要があります。
また製造を行うメンバーも、管理側から渡された設計図の各段階においての目的に注目し、顧客の求めるニーズとのズレが生じていないかを確認することがポイントです。
商品設計でよくある2つ目の問題は、自分たちのアイデアをなかなか外部に見せようとしないパターンです。
自社内で「開発・販売が実現すれば競合他社に負けない売り上げを出せる自信のあるアイデアを持っている」場合でも、形にしなければ机上の空論となってしまいます。
さらにこのケースの場合、設計段階において責任者が自社の持つユニークなアイデアを出し惜しみし、結果的に販売の好機を逃してしまうパターンが多い傾向があります。
商品設計を行う上では季節やトレンドを考慮した上で、自社の持つアイデアや技術をうまく取り入れつつ、継続的に改善可能な商品の開発を目指しましょう。
商品設計でよくある3つ目の問題は、開発用途のよくわからない商品を開発してしまうことです。
これは開発側の責任者が「おそらく〇〇のニーズは増えるだろう」と先読みし、設計図を作成したのちに商品を先行開発した場合に起こりがちな問題です。
用途のよくわからない製品が先に開発されてしまうと、出来上がった在庫を保管する必要があるほか、製品の用途を考えるのにかなりの時間がかかるため注意が必要です。
商品設計でよくある4つ目の問題は、製造フェーズにおける設計の工程への逆戻りが何度も発生してしまうことです。
このようなケースの場合、商品の設計段階において問題を洗い出しきれず、製造における過程の中で不備や不具合が発生することで、設計段階へ逆戻りする必要が出てきます。
この問題は製造業界では「モグラ叩き式」とも呼ばれており、一度出戻りが発生すると次から次へと問題が発生し、製造がなかなか進まなくなることも。
商品設計を行う上では、「製造着手後に後戻りをする可能性を全てなくす」ことを念頭におきつつ、「出戻りが発生した場合もリカバリ方法」も必ず決めておきましょう。
ここからは、商品設計を実際に行う上での具体的な手順を解説します。
商品設計を行う上では、以下のステップを順々に辿ることがポイントです。
それぞれのステップについて詳しく解説します。
商品設計を行う前に、まずは事業のコンセプトを明確にしましょう。
このステップでのポイントは「誰の何を解決するためにどうやるか」を言語化した上で、どのような製品を作り出すのが望ましいのかをはっきりさせることです。
開発する商品のジャンルなど大まかな方向性を決める際には、数多くのアイデアを出した上で絞り込みを行うブレーンストーミングなどが望ましい方法となります。
数多くのアイデアから大まかな枠組みを決め、具体的なコンセプトを決める際には「5W1H」の視点から分析を行うことを心がけましょう。
事業のコンセプトが決まったら、次は商品を開発する上での具体的な目標を立てます。
ここで決めておきたいのが、「開発した商品を販売して◯ヶ月後に売り上げ〇〇円を目指す」など、具体的な時期や数値を伴う目標です。
これはWebマーケティングにおけるKPI(重要業績評価指標)に近いものであり、目標をメンバーに共有することで開発する商品自体に対するイメージもつきやすくなります。
商品を開発する上での目標が定まったら、次は商品の製造を行う上での計画を立てます。
このステップでは具体的なスケジュールを作成した上で、製造に必要な設計図を実際に作成してメンバーに共有することがポイントです。
管理側の人間は商品自体の設計図や製造のポイントの共有だけでなく、各メンバーのスキルや稼働時間といったリソースを頭に入れておくことを心がけましょう。
商品を製造する上での計画が定まったら、次は商品を実際に製造するステップとなります。
製造ステップにおいて、管理側は各メンバーの作業の進捗や問題点をこまめにチェックするだけでなく、メンタル面のケアをすることを忘れないようにすることがポイントです。
また管理者は製造ステップにおいてのメンバーの管理だけでなく、以下の問題に関するリカバリ方法を事前に考えておくことが必要不可欠となります。
作業全体の進捗状況を把握しつつ、どのような問題が起こっても臨機応変に対処することで顧客に迷惑をかけない体制を整えておきましょう。
製造した商品が実際に市場に出回り始めたあとは、売り上げの現状やお客様からの評価を元に現状を定期的に見直すことが必要不可欠です。
商品設計自体は一度製品を開発したのちは流用が効く場合もあります。しかし、開発した商品の販売やマーケティングの方法は時代の流れに応じて変化させる必要があることは言うまでもありません。
そして、開発して販売する製品に対する顧客の反応や口コミは、新たに開発する商品を設計する上での大きなヒントとなります。
商品自体の状態だけでなく、販売や流通などマーケティング方面においての課題を定期的に見直すことで、商品自体の継続的改善にもつなげていきましょう。
商品設計を行う上では、以下3つのポイントを押さえておくことが必要不可欠です。
それぞれのポイントについて深掘りしていきます。
商品設計を行う上での1つ目のポイントは、商品開発の目的が自分たち本位にならないようにすることです。
経験豊富な管理者やエンジニアの場合、設計や製造段階において自らの知見を元に「これはこうした方が良い」と判断してしまう傾向があります。
しかし、商品開発の本来の目的は、「顧客の問題を解決する商品を製造・提供する対価としてお金を払ってもらう」ことです。
顧客の要望とは別に余計な機能やシステムを追加してしまうと、納品や検修の際に顧客から「こんなことは要求していない」と指摘されてしまうリスクも高まります。
このような問題を避けるためにも、商品設計を行う段階では営業担当者と顧客の要求事項をしっかり共有することがポイントです。
どうしても追加すべき機能があると考えた場合はすぐに設計図に反映せず、営業担当者にもう一度顧客へのヒアリングをお願いしましょう。
商品設計を行う上での2つ目のポイントは、現実的な商品設計や開発スケジュールの立案を行うことです。
ここでのポイントは、社内の人材のスキル及び稼働時間を適切に見積もった上で、現実的に遂行できる設計プランを組むことを心がけることです。
現実的に不可能な設計図や製造スケジュールを組んでしまった場合、途中での増員が必要になるだけでなく、メンバーの精神的ストレスにもなってしまいます。
商品設計における設計図やスケジュールは納期やメンバーのスキルを考慮して作成することを心がけておき、必要があれば外注も検討しましょう。
商品設計を行う上での3つ目のポイントは、自信を持って見込み顧客や競合他社に強みをアピールできる商品を作ることです。
企業規模や売り上げも当然大切ではあるものの、顧客に対してヒアリングを行ったのちに商品を開発するという時点で、プロである意識を持つことは必要不可欠となります。
商品設計を行う上では、「自分達は〇〇のプロとして製品を製造し、自信を持って顧客に提供する」という使命感を持った上での取り組みを行うことを心がけましょう。
今回は、商品設計における目的設定の方法やよくある問題、具体的なステップや押さえておきたいポイントを幅広く解説しました。
商品設計においての最大のポイントは、「設計への逆戻り」と「設計段階における後悔」を避けることです。
商品設計の段階において具体的かつ現実的な目的や目標が定まっている場合、製造フェーズにおいてトラブルが発生しても大きな問題が発生する確率は低くなります。
しかし製造フェーズにおいて設計の不備が発生した場合、後戻りが発生するため各人材においての人的コストも増えることが避けられません。
また設計段階において商品開発の目的やお客様とのすり合わせが上手くいっていない場合、出来上がった商品を目の前にして後悔してしまう可能性もあります。
このような問題を防ぐためにも、商品設計の段階においては具体的な目的・目標を定めてメンバーと共有した上で、現実的な開発スケジュールを組むことを心がけましょう。
株式会社INFLUは商品設計に精通したプロのスタッフが多数在籍しているだけでなく、商品やサービスのSNSやWebマーケティングにも幅広い強みを持つことが特徴です。
「自社商品の商品開発の体制やマーケティングの現状を見直したい」と考える方は是非、こちらの以下をクリックしてください。