新型コロナウイルス感染拡大以降、飲食店やスパ、小売店などのローカルビジネスはリピーターの獲得と利用頻度の向上が必要不可欠になりました。
人々のライフスタイルが激変し、これまでの消費活動が変化したからです。
特にリモートワークや遠隔授業が進んだことで、外出する機会そのものが減りました。
繁華街や百貨店、ショッピングモールの集客力が失われたため、そこに出店する店舗の新規客も減少します。この傾向はコロナ収束後も続くと見られています。
リピーター対策として注目を集めているのがLINE公式アカウント。
顧客とコミュニケーションが図れるマーケティングツールの一つです。
しかし、ビジネスで活用して成果を出すにはコツがあります。
LINE公式アカウントの特徴や運用時のポイントを解説します。
目次
LINE公式アカウントは多種多様な機能が使えます。
どのような機能があり、何を目的として運用し、どの機能を使うのかを見極めることが重要です。
その理解に欠けていると、無駄な時間や費用を使うことにもなりかねません。
LINEをビジネスで使う場合は、LINE公式アカウントを起点とし、3つの領域に分かれて運用すると考えてください。
顧客との関係構築を行うコミュニケーション、ブランド認知を高める広告、購買意欲を促進する販促です。
3領域のそれぞれに機能が備わっています。
【コミュニケーション】
【広告】
【販促】
LINEをビジネス目的で活用する際に必ず必要になるものです。
無料でアカウントを作成、運用することができます。
ただし、配信するメッセージ数に応じて料金が発生します。
■LINEプラン別料金表
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額固定費 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ通数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金 | 不可 | 5円 | ~3円 |
参考:LINE「料金プラン」
LINE公式アカウント上に様々な機能を追加できるものです。
飲食店などの予約の受け付けや、会員証の発行・管理機能などを入れることができます。
ミニアプリは以下のページから取得できます。
追加する機能によって費用が発生するので注意してください。
ユーザーに無料または条件付きでスタンプが提供できます。
企業オリジナルの公式スタンプを発行することにより、友だち数の増加やブランド構築、顧客とのコミュニケーションに役立ちます。
LINEに対して、広告費を支払う必要があります。
定額プランと従量課金プランの2つが用意されています。
店舗のスタッフ一人ひとりにLINE公式アカウントを割り当てることができます。
美容室やアパレルショップ、エステサロンなどでは、スタッフに一定のファンがつくことが珍しくありません。
スタッフが公式アカウントを運用することにより、顧客とのコミュニケーションが密にとれ、販売や来店に繋がりやすくなります。
スタッフを評価するツールの一つとしても活用できます。
LINEは月間9,300万人が利用しており、強力な広告プラットフォームとしても機能しています。
LINE NEWSやトークリストなど、様々な場所に広告を表示することが可能です。
商材やサービスを利用するターゲットに最適化した広告を届けられます。
トークリストの最上部に動画や静止画の広告を配信できるサービスです。
1日6,500万UUという優位性の高い場所に広告が配信できるため、マス狙いの認知活動が可能です。
動画も配信でき、視覚効果の高い広告を出稿できます。
アンケート型のキャンペーンやLINEポイントと連携した企画を打ち出すことができます。
認知度の拡大や友だちの獲得、休眠客の来店獲得など、課題や目的に合わせて柔軟にプランを組むことができます。
LINE上にチラシを配信することができます。
ユーザーが専用アプリをダウンロードする必要がなく、シームレスに情報が受け取れます。
顧客属性に合わせた配信が可能。
チラシは従量課金制になっていますが、ターゲットが絞り込めるので無駄な費用が発生しづらいという特徴があります。
友だちの追加や動画視聴など一定の条件をクリアすると、LINEポイントを付与できる機能です。
LINEポイントを貯めたいと考えているユーザーを、狙い撃ちしたキャンペーンを構築することができます。
店舗にLINE Beaconを設置すると、LINEトークリストの最上部に広告を掲載できるようになる機能です。
POPを立てるだけだと訴求力が弱いと考えている企業や店舗に最適です。
LINE公式アカウントを運用するうえで、基本となる機能に以下のようなものがあります。
【機能】
LINEはメッセージやチャットを使って顧客との関係構築を行うのが、最も効果的な運用方法です。
メッセージの配信頻度などをあらかじめ決めた上で運用するとよいでしょう。
リッチメニューは、視覚効果を高めるために必須となります。
Canvaなどのサービスを使うと、デザイン性を高められます。
必ずリッチメニューを作りこむようにしてください。
作りこむコツは以下のページで紹介しています。
LINE VOOMはショート動画を楽しむプラットフォーム。
若年層向けには動画でのマーケティングが効果的。
LINE VOOMは訴求力の高いメッセージが届けられます。
マーケティング活動を行ったら、効果が出ているのか必ず確認してください。
レポート機能を定期的にチェックすることは、成果を出すうえで欠かせません。
LINE公式アカウントがマーケティングツールとして注目を集めている理由が2つあります。
詳しく説明します。
下のグラフは内閣府が提供するV-RESASを使い、東京都の人の流れを2019年比で表したものです。
居住地が市区町村内の人は2019年の水準を上回っていますが、東京都外の人は基準値を下回っているのがわかります。
つまり、人通りは明らかに少なくなっているのです。
参考:内閣府 地方創生推進室「VRESAS」
まん延防止等重点措置が2022年3月に解除され、12月に入っても未だ回復しきっていません。
繁華街を中心に人通りの減少は戻り切らないと言われています。
飲食店や小売店などは、新規客を中心とした販促活動を行ってきました。
しかし、これからはリピーター創出し、来店頻度をいかに上げるかが重要です。
LINE公式アカウントは顧客とコミュニケーションをとるツールで、リピーターに効果的です。
派手な宣伝活動よりも、密なコミュニケーションが必須になります。
昭和、平成はテレビや新聞、雑誌を中心としたマス広告が主流でした。
しかし、その効果は失われたと言われています。
情報が溢れたことで消費者の嗜好が多様化し、国民的なヒット商品が少なくなったためです。
マーケティングの手法はファンの醸成へと変化しました。
長い時間をかけてコミュニケーションをとり、少しずつファンを増やしてLTVを最大化しようというものです。
LINE公式アカウントは情報発信基地として最適なツールです。
LINEの運用を行う際は、必ずKPIを設定してください。
それによってどのくらいの効果が出ているのかを把握できるためです。
例えば、以下のように設定するとよいでしょう。
経過月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
友だち数 | 30 | 60 | 90 | 120 | 150 | 180 |
ブロック率 | 5.0% | 5.0% | 5.0% | 5.0% | 5.0% | 5.0% |
正味友だち数 | 29 | 57 | 86 | 114 | 143 | 171 |
メッセージ配信数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
メッセージ総配信数 | 114 | 228 | 342 | 456 | 570 | 684 |
クーポン配信率 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
クーポン総配信数 | 29 | 57 | 86 | 114 | 143 | 171 |
クーポン利用率 | 60.0% | 60.0% | 60.0% | 60.0% | 60.0% | 60.0% |
クーポン利用数 | 17 | 34 | 51 | 68 | 86 | 103 |
客単価 | 800 | 800 | 800 | 800 | 800 | 800 |
割引前効果 | 13,680 | 27,360 | 41,040 | 54,720 | 68,400 | 82,080 |
クーポン割引 | 10% | 10% | 10% | 10% | 10% | 10% |
LINEの効果 | 12,312 | 24,624 | 36,936 | 49,248 | 61,560 | 73,872 |
内容を簡単に説明します。
このシミュレーションは客単価800円のラーメン店を想定して作成したものです。
友だち数を月に30人増加させ、メッセージを月4回送ります。
そのうち1回はクーポンを発行します。ブロック率は5%。
クーポンの利用率を60%と想定すると、初月でおよそ12,000円、6か月後に74,000円の効果が出ることになります。
KPIを細かく設定しておくと、どこで躓いているのかがわかります。
LINE公式アカウントの作成は難しくありません。
以下のステップに従って作成してください。
LINE公式アカウントのサービスページで開設をクリックし、アカウントの作成に進みます。
次にプロフィールを設定します。
設定内容やポイントは以下の通りです。
参考:LINE for Business「LINE公式アカウントの作り方|開設の設定と運用方法」
重要なのは「挨拶メッセージ」の設定です。
友だちに登録した際に流れるもので、コミュニケーションの第一歩となる重要度の高いもの。
どのような情報が得られるか、ユーザーにとってのメリットを訴求してください。
LINE公式アカウントはマーケティングで欠かせないツールになりました。
しかし、「とりあえずやってみよう」というのは危険です。
機能が多く、やるべきことばかりが増えてしまうからです。
運用を開始する前に目的や目標、戦略を立て、効果検証をしながら進めてください。
過剰な効果を期待するのではなく、長期的に取り組むものだということも忘れないようにしましょう。
LINEの戦略構築は難易度が高く、運用方法も一筋縄ではいきません。
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